ブランド成功への科学的アプローチ


ロゴデザインは、ビジネスやブランドを象徴する非常に重要な要素です。

そのロゴが消費者の行動や購入意向に与える影響は計り知れません。

しかし、そのデザインは感覚だけで決められるものではありません。

実際の研究データに基づいて、効果的なロゴデザインのガイドラインについて詳しく解説します。

この記事は一言でいうと、 「効果的なロゴデザインの秘訣」です。

皆さんは、ロゴを見るだけでそのブランドの印象や価値を判断してしまうことがあるのではないでしょうか?

それは、ロゴがブランドイメージを構築する上で非常に強力なツールであるからです。

しかし、どのようなロゴが効果的なのか、何を基準にデザインすれば良いのかというのは、多くのデザイナーやビジネスオーナーにとって大きな悩みです。

実は、これには明確な答えが存在します。

研究によって明らかにされた、効果的なロゴデザインのガイドラインを知ることで、あなたのブランドも次のレベルへと進むことができるのです。

この研究結果を知らなければ、単に好みや感覚だけでロゴを作成してしまうリスクがあります。

その結果、消費者の心を掴むことができない、効果的でないロゴが生まれてしまう可能性があります。

では、どのようなロゴが消費者の心を掴むのか、その秘訣を次に詳しく解説していきます。

この記事を読むメリット


この記事を読むメリットは、

  1. 科学的根拠に基づいたロゴデザインの理解: 文章はロゴデザインの重要性とその効果を科学的研究に基づいて詳しく解説しています。これにより、感覚や主観だけでなく、実際のデータに基づいたロゴデザインのガイドラインを理解することができます。

  2. 効果的なブランド戦略の構築: ロゴが消費者の行動や購入意向に与える影響を知ることで、ブランドやビジネスの戦略をより効果的に構築する手助けとなります。特に、ロゴの描写性やコントラストが消費者のブランド認知や信頼に与える影響を具体的に知ることができます。

  3. デザインやマーケティングの提案力向上: デザイナーやマーケターは、この研究内容を元にクライアントのロゴデザインの修正提案を行うことができます。現実のビジネスの現場で、感覚だけでなくデータに基づいた提案をすることで、提案の説得力や信頼性を高めることができます。

シティ大学の研究でロゴの描写性(記述性、説明的)の効果と消費者の購入意向にどのような影響を与えるのかについて複数の研究から検証した。

研究1:4つのロゴ「描写性が高いスーパーマーケットのロゴ」「描写性が低いスーパーマーケットのロゴ」「描写性が高い果物屋のロゴ」「描写性が低い果物屋のロゴ」を用意し、160人の参加者に4つのロゴを見せた後に、ブランドの信頼性に対する印象を最大9で評価してもらう。

研究2:この研究では174名を対象に描写的なロゴを使用し、図形と背景のコントラストを操作して、処理しやすい(高コントラスト)バージョンと処理しにくい(低コントラスト)バージョンを作成しました。そのロゴがどの程度信頼性のある印象を与えるかについて評価しました。

研究3:3つのロゴタイプ「文字商標」「アイコンのみ」「文字商標+アイコン」を用意し、それぞれに描写性の高いロゴと低いロゴを制作した。240人を対象に6つのロゴから鉛筆メーカのロゴを評価させた。(1=全く描写的ではない、9=とても描写的)

こんな感じで描写性(記述的、説明的)の高いロゴは消費者にどのような影響を与えるのか、様々な角度から調べてくれていますね。

信頼感を引き出すロゴの秘密


・描写性の高いロゴは、描写性の低いロゴよりも信頼性が高いと認識される。

4つの異なるロゴ(描写性が高いスーパーマーケットのロゴ、描写性が低いスーパーマーケットのロゴ、描写性が高い果物屋のロゴ、描写性が低い果物屋のロゴ)を160人の参加者に見せ、ブランドの信頼性に対する印象を評価してもらいました。

結果として、描写性の高いロゴは、描写性の低いロゴよりも信頼性が高いと認識されることが判明しました。

これは非常に重要な発見です。

ロゴデザインの際に、具体的な要素や特徴をしっかりと表現することで、消費者に対してそのブランドや商品がもたらす価値や信頼性を強く伝えることができるということを示唆しています。

具体的な描写が含まれていることで、消費者はそのブランドや商品の特徴や価値をはっきりと理解しやすくなり、それが信頼性の高い印象を生む要因となるのです。

この結果から、ロゴデザインを行う際には、描写性を高めることで、消費者の信頼を獲得しやすくなるというポイントを強く意識するべきだと言えます。


コントラストがもたらす信頼の力


・描写性が高く、図形と背景のコントラストが高いロゴは、信頼性の印象が特に高い。

次に、ロゴの描写性だけでなく、図形と背景のコントラストが信頼性の印象にどのような影響を与えるのかに焦点を当てました。

174名を対象に、描写的なロゴを使用し、図形と背景のコントラストを操作して、処理しやすい(高コントラスト)バージョンと処理しにくい(低コントラスト)バージョンを作成しました。その後、どのロゴがより信頼性のある印象を与えるかを評価してもらいました。

高いコントラストのロゴは視覚的な鮮明さを持ちます。

この鮮明さは、消費者にとって情報の処理を容易にします。

人は、はっきりと見えるもの、すぐに理解できるものに対して自然と信頼を感じやすいのです。

つまり、情報が明確であればあるほど、それに対する信頼感も強まるのです。

また、情報の処理が容易なものは、消費者が肯定的な感情を抱きやすくなります。

逆に考えると、情報の処理が難しいと感じると、消費者はその情報やブランドに対して疑念を抱く可能性が高まります。

この点からも、高いコントラストのロゴが信頼性の印象を高める要因として考えられます。

さらに、高コントラストのロゴは、記憶に残りやすい特徴を持っています。

これは信頼性とは直接的な関連はありませんが、消費者がそのブランドや商品を後で思い出しやすくするという点で、長期的なブランド認知やロイヤルティの形成に大きな影響を持つ要素です。

総じて、ロゴデザインを検討する際には、情報の明確さや視覚的な印象を強く意識することが、ブランドの信頼性や認知度を高める鍵となるでしょう。

最も効果的なのロゴタイプ


・説明的なロゴは、より説明的でないロゴよりも高く評価される。

ロゴのタイプによる消費者の評価の違いを検証しました。具体的には、「文字商標」、「アイコンのみ」、「文字商標+アイコン」の3つのロゴタイプを用意しました。そして、これらのロゴに対して、描写性の高いバージョンと低いバージョンを制作し、240人の参加者に評価してもらいました。

結果として、説明的なロゴ、つまり描写性の高いロゴが、より説明的でないロゴよりも高く評価されることが明らかになりました。

人々は、情報を迅速に理解できるもの、つまり直感的に捉えやすいものに対して好感を抱きやすいのです。描写性の高いロゴは、ブランドのメッセージやその背後にある価値を瞬時に伝えることができるため、消費者の好意や信頼を獲得しやすくなります。

さらに、文字とアイコンの組み合わせを持つロゴは、その二つの要素が協力してブランドの情報を伝えます。文字はブランドの名前や理念を具体的に伝える手段として、アイコンはブランドのイメージや価値を感情的、視覚的に伝える手段として機能します。この二つの情報が融合することで、消費者にとってのブランドの理解がより深まるのです。

また、描写性の高いロゴは、しばしば感情的なストーリーや背景を持つと感じられます。このような感情的な要素は、消費者とブランドとの間に情緒的な絆を築く役割を果たします。結果として、消費者はそのブランドに対してより深い関心や信頼を持つようになるのです。

結論として、ロゴの描写性やその構成要素は、消費者のブランドに対する認知や感情、さらには行動に大きな影響を与えることが確認されました。これは、ロゴデザインの際の重要なポイントとして、デザイナーやブランドオーナーに考慮されるべき事項と言えるでしょう。

まとめ


今回の内容を簡単にまとめてみました。

信頼性と描写性の関連: 描写性が高いロゴは、そのブランドに対する信頼感が高まる。スーパーマーケットや果物屋のロゴを使ってこの関連性を確認。描写性の高いロゴが、低いものよりも信頼性が高いとの結果が出ました。

コントラストの影響: ロゴのコントラストが、信頼性の印象に影響を与える。高いコントラストのロゴが特に信頼性の印象が高いことが確認されました。明瞭さが感じられるデザインは、そのブランドや商品に対する信頼感を高める要因となります。

ロゴのタイプと評価: ロゴのタイプによっても、評価は大きく変わる。文字だけ、アイコンだけ、またはその組み合わせを持つロゴの評価を比較。結果として、描写性の高いロゴが、特に文字とアイコンの組み合わせの場合に最も高く評価されました。


これらの結果から、ロゴデザインを進める際には、描写性を高めることや、適切なコントラストを取り入れることが、消費者のブランドに対する良好な印象を形成する鍵であることがわかりました。

Bookmarkチームの
活用考察


今回の内容は活用というより、そのまま使える場面が多いと思います。

自身でサービスや商品を作った際には今回の記事の内容を意識して制作していただければ、効果的なロゴを作ることができます。

逆にデザイナーやマーケッターはクライアント様のロゴを見て今回のセオリーに当てはまっていない場合は、今回の研究内容を元に修正の提案をしてみても良いかもしれませんね。

ちなみにですが、「描写的なロゴ」と「そうでない抽象的なロゴ」どちらのロゴが世間一般で使われているのか追加研究した内容もありました。

597ブランドのうち246ブランド(41%)がロゴの記述性を持っていたのに対し、351ブランド(59%)が持っていなかった。

これらの結果は、マーケティング実務家がロゴの記述性の潜在的な利点を活用していない可能性を示唆した。

これらを踏まえて実際のビジネスでの活用方法を考えてみました。

ターゲットマーケティングの最適化

描写性が高いロゴや高いコントラストのロゴを使用することで、特定のターゲット層の注意を引きつけることができます。これを元に、ターゲット層に合わせたカスタマイズされたマーケティング戦略を展開することが可能となります。

メリット: ターゲット層の関心を高め、広告やプロモーションの効果を最大化。 ROIの向上と広告予算の最適化。

デジタル広告の効果測定

高いコントラストのロゴや描写性が高いロゴをデジタル広告に取り入れることで、広告のクリック率やコンバージョン率の変動を観察することができます。これにより、デザインの効果を定量的に評価し、広告戦略を最適化することが可能です。

メリット: 広告効果の向上とコスト効率の最適化。 デザインの微調整やA/Bテストの方針をデータに基づいて決定。

ブランド再定義とリポジショニング

既存のブランドが市場での位置付けを見直す必要がある場合、この研究の知見を元に、ロゴの描写性やコントラストを変更してブランドのイメージを再定義することができます。

メリット: 新しい市場や顧客層へのアプローチが可能になる。 競合との差別化を図り、市場での競争力を強化。


感覚的には抽象的なロゴの方がカッコいいとかオシャレなのはわかりますが、実際はロゴの利点を活用できていないということにもなりますね。

つまり、感覚でロゴ制作をしている企業が多く、ここには修正提案チャンスがかなりありそうですね。

Inspired by Let the Logo Do the Talking: The Influence of Logo Descriptiveness on Brand Equity/Jonathan Luffarelli/2019-07/https://figshare.com/articles/journal_contribution/845000_supplement_-_Let_the_Logo_Do_the_Talking_The_Influence_of_Logo_Descriptiveness_on_Brand_Equity/8796248