フリーランスや起業が珍しくなくなって来ている昨今においてどの役割を担うのか?ということは非常に重要な要素だったりします。
自分が苦手な分野を任されて思うように力を発揮できていない人も多いでしょう。
フリーランスから売上が大きくなって来たから、やむを得ずCEO(最高経営責任者)になったという人も少なく無いはずです。
しかし、みんながみんな能力が付いたからCEOになるのが良いとは限りません。
では実際にCEOに向いている人物にはどのような特徴があるのでしょうか?
マネジメント職につく人物との違いを明らかにしている研究があったので、こちらを参考に考えて行きましょう。
実験手順
Harvard Universityの研究でトップマネジメント候補(CEO、CFO、COOを含む経営トップ候補者)の評価を行うコンサルティング会社ghSMARTのデータセットを使用し、トップマネジメント職の候補者2,603人の特性を調査しました。
〈実験手順〉
①補者の特性を把握するため以下4つの因子を用いて因子分析を行いました。因子1,2は過去の研究と類似したものであり、因子3,4は本研究で新たに追加したものです。
因子1. 一般的な能力
因子2. 実行力があるか対人関係を重視するか
因子3. カリスマ的か分析的か
因子4. 戦略重視か経営管理にこだわるか
②経営トップ候補者それぞれについて、ghSMARTの内部ガイドラインに従って各因子についての等級分けを行い、評価を数値に変換しました。
③リサーチアシスタント(RA)により、候補者の主観的な印象を評価しました。RAは、以下5つの項目で評価します。
・候補者がいい人に見えるか
・リスクテイカーに見えるか
・社交的な性格か
・営業に向いているか
・キャリアパスが広いか
※これらの評価は主観的なものであるため、主要な分析には使用されないが、因子分析の解釈をサポートするのに有用なものです。
実験結果
因子分析の結果は以下図示のとおりです。
図の矢印は、CEO候補者と CEOに採用された者の差を示します。(矢印の先が採用された者)
図A:「一般的な能力(因子1)」と「実行力があるか対人関係を重視するか(因子2)」

CFO:最高財務責任者 CXO:最高業務責任者
図B: 「カリスマ的か分析的か(因子3)」と「戦略重視か経営管理にこだわるか(因子4)」

CFO:最高財務責任者 CXO:最高業務責任者
《候補者全体で比較した結果》
・CEO候補者→「一般的な能力が高く(因子1)」、「実行力が高く(因子2)」、「カリスマ性がやや高く(因子3)」、「戦略的視点を重視(因子4)」するという結果が出ました。
・CFO→CEO候補者と比較して能力は劣り、対人関係や分析、経営的な細部にこだわる傾向があります。
・上場企業や大企業が採用した候補者は、非上場企業や中小企業の候補者よりも高い能力値を示しています。
これは、CEOが平均して優秀であり、大企業がより優秀なCEOを採用しているということにつながります。
また、因子分析において、男女比較での結果に大きな差はありませんでした。
・リサーチアシスタントによる主観的な評価の結果は以下の通りです。
表3A. 役職別の主観的評価

CEO候補はCFO候補と比較して、特に数値が上回っているため、「リスクテイカー」、「社交的」、「営業向き」であると認識されました。
採用されたCEOの特性は、「優秀さ」「カリスマ性」「実行力」「戦略的スキルの高さ」が目立っていることがわかりました。
CEO候補者に選ばれるためには、自己研鑽を積極的に行い、また選ぶ側としては上記項目について検討すると良いでしょう。
Bookmarkチームの
活用考察
今回の研究では各役割が備える特性がわかりましたね。
ビジネスにおいて「能力を発揮し易い役職や役割に就く」ということは重要です。なので今回の研究を参考に自分に向いている役割を見直してみても良いかもしれませんね。
逆に経営者として従業員の能力を把握した上でどの仕事を与えるのかも重要です。
どの役割にも能力を発揮できないという人はほぼいないと思っていて、結果が伴わない人は自分が苦手な役割を与えられている可能性が高いのでここも見直したいところです。
例えばCEO気質なのに分析などのCFOをやっても能力は発揮されにくいですからね。
自分の役割の見直しと従業員の役割の見直しを今一度してみてください。
Inspired by CEO Personality and Firm Policies/Harvard University/2016/https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2805635