デザインはアート?サイエンス?
マーケティングの世界において、ウェブサイトのデザインは非常に重要な要素の一つとして位置づけられています。
私が考えるに、ウェブサイトのデザインには大きく分けて2つのアプローチが存在すると感じています
・アートタイプ:美的価値を最優先とし、訪問者に心地よさや感動を提供することを目的としたアートタイプのデザインです。
このタイプのデザインは、一見するだけでそのサイトの特徴やブランドイメージが伝わるような、個性的で魅力的なビジュアルを追求します。
一方、二つ目は、
・サイエンスタイプ:利用者の使い勝手やアクセス性を最優先とし、情報の伝達や購買行動をスムーズに促すことを目的としたサイエンスタイプのデザインです。
こちらは、ユーザーエクスペリエンスやコンバージョン率の向上を中心に考えた実用的なデザインとなっています。
ユーザーが求めるデザインとは?
2つのタイプは、目的や価値観が異なるため、デザインに関する議論や意見が交錯することがしばしばあります。
例えば、ある人は「美しいデザインがあれば商品は自然と売れる」と信じているかもしれませんが、別の人は「デザインの美しさよりも使いやすさが最も重要だ」と考えるかもしれません。
さらには、「過度に凝ったデザインはユーザーを混乱させ、購入をためらわせる」という意見もあるでしょう。
ウェブサイトのデザインには、多様な意見やアプローチが存在し、一概に正解とは言えない複雑な領域です。
しかし、その中でも私たちは「ECサイトのデザインがユーザーの消費行動にどのような影響を与えるのか」についての具体的の研究を見つけました。
この結果を通して、効果的なデザインの方向性やポイントを探っていきたいと考えています。
デザインが美しいと初回利用率が上がるが・・・
グラン・エコール・リヨンの研究で、サイトデザインがECサイトにポジティブな影響を与える2つの変数(ウェブサイト利用、ユーザー専門知識)を調査していました。
①18歳以上のインターネットユーザーを対象としたフランス人235人のオンラインユーザーに旅行会社のウェブインタフェースを閲覧してもらう
②サイトを利用したいか1~7段階評価してもらう
③ユーザーの専門性を算出するために、「旅行サイトに詳しい」という文に対して1~7段階で回答してもらう
視覚的な好みが旅行の予約率にどのような影響を与えるのか調べた感じですね。
デザインが好みでも価格が安ければ、他のサイトとかで予約したりもあるでしょう。
デザインで予約するのか?
他の要素が勝ち、他のページで予約するのか?
デザインによる影響度合いがわかりやすいと思いますね。
実際はどうだったかと言うと、
・サイトのビジュアルデザインが魅力的であれば利用率は高くなった
・この効果は「ウェブサイトの利用前」にのみ有意に現れることがわかり、リピートする際にはあまり関係がないことがわかった。
ぱっと見の印象が良いと、「サイトを使ってみよう!」となる気持ちはわかりますね。
しかしビジュアルが良くても、サイトを利用するきかっけにはなるが、リピートには繋がらないということですね。
リピートに繋がるデザインとは?
では、サイトを使うきっかけではなく、どのようなサイトだと利用率が上がるのでしょうか?
それは、
・消費者自身の知りたい情報をサイト内で的確に見つけやすい必要がある。
とのことで、結局サイトを利用するときは目的があり、その目的を如何に楽に達成できるかが重要なのだと思います。
つまり簡単にまとめると、わかりやすさとか使いやすさがデザインにおいては重要なのかもしれません。
研究チームの結論もそんな感じになっています。
消費者は、製品や情報を簡単に見つけることができる場合にのみ、ビジュアルデザインを高く評価することから、企業は、消費者が欲しい情報に容易にアクセスできるよう、インターフェイスのブラウジングを容易にするツールを導入すべきである
ちなみにですがその業界に詳しさと、サイトビジュアルの関係性ですが
・旅行サイトに詳しい、詳しくない関係なく、サイトのビジュアルデザインに対する評価は関係なかった
こんな結果の感じになりました。
知見の深さとデザインは関係ないみたいですね。
Bookmarkチームの
活用考察
今回はサイトのデザインが美しいと売上や利用率は上がるのか?という話でした。
結果的に特別美しい必要性はなく、美しさより使いやすさが重要ということでしたね。
今回の内容を踏まえて実際に活用する方法を考えました。
~初回訪問者へのアプローチ~
活用方法: サイトのトップページやランディングページには、魅力的なビジュアルデザインやキャッチフレーズを配置し、初回訪問者の注意を引くようにする。
メリット: 初回訪問者の興味や好奇心を引きつけることができ、コンバージョンへの第一歩としてのアクション(例: メール登録、商品閲覧)を促進することができる。
~リピート訪問者へのアプローチ~
活用方法: サイトのナビゲーションや検索機能を最適化し、リピートユーザーが求める情報や商品を迅速に見つけられるようにする。また、過去の購入履歴や閲覧履歴に基づくパーソナライズされたコンテンツを提供する。
メリット: ユーザーの再訪時のサティスファクションを向上させ、継続的な関与や購入を促進することができる。また、パーソナライゼーションによりユーザーのロイヤリティも向上する。
~情報のアクセシビリティの強化~
活用方法: サイト内のコンテンツ構造を整理し、求めている情報に直感的にアクセスできるようなUI/UXを実現する。FAQセクションの充実や、チャットボットを活用して即時の質問対応を行う。
メリット: ユーザーが迅速に情報を取得できるため、サイトでの滞在時間が延び、コンバージョンの可能性が上がる。また、ユーザーサティスファクションが向上し、再訪率の増加が期待できる。
ウェブサイトのデザインは、単なる外観ではなく、ユーザーとのコミュニケーションの手段であり、そのビジネスの価値観やブランドイメージを伝える重要なツールです。
初回の訪問者を魅了するビジュアルデザイン、リピート訪問者のための使い勝手の良さ、そしてすべてのユーザーが求める情報への迅速なアクセスが求められています。
これらをバランス良く組み合わせることで、ユーザーエクスペリエンスを向上させていきましょう。
Inspired by Visual design and online shopping experiences: When expertise allows consumers to refocus on website attractiveness/Florence Jeannot, Eline Jongmans/2022-05/https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/20515707221087627