「経営者 VS 知識のある学生」どっちが売り上げる?
結果を出すために実践経験は必要なのか?
今日は「”経営者 VS 知識のある学生”どっちが売り上げる?」ということについて解説していきます。
この記事は一言でいうと、「結果を出すために実践経験は必要なのか?」ということを学べる記事です。
机上の空論なんて言葉がある通り、実践が伴わない知識は活かされない。と言われたりするけれど、実際問題本当に知識が豊富なだけでは結果をだすことはできないのでしょうか?
ただ、みんなが知識だけでは結果は出せないと言っているだけで、実は実践が伴わなくても知識量があれば、いきなりビジネスで結果を出すことは不可能なのでしょうか?
これについて調べたことがある人など、ほとんどいないと思います。
そこで科学的根拠をベースに考えて行きたいと思います。
経営者VS知識のある学生
この記事を読むことで
・経営パフォーマンス: この記事では、実際の経営者と知識豊富な学生が同じ条件下でビジネスを運営した場合のパフォーマンスを比較します。これにより、経験と知識が実際のビジネスパフォーマンスにどのような影響を持つのか、具体的なデータをもとに理解することができます。
・リソースの使い方: 経験者と未経験者、この2つのグループがどのような意思決定を行うのかを詳しく検証します。これにより、実践経験が意思決定のプロセスや内容にどのように影響するのか、具体的なケーススタディを通じて学べます。
・戦略変更数の違い: 実際の現場で直面する様々な問題に対して、どのように対応していくのか。具体的な事例をもとに解説します。
これらがわかるようになります。
それでは早速学んで行きましょう。
ノースフロリダ大学の研究で、中小企業経営者25名、心理学部の大学生66名、ビジネス学部大学生49名を対象に、PC上でチョコレート製造会社のCEOとして企業経営のシミュレーションを行いました。
実際に調べた内容は「経営パフォーマンス(資金推移)」「リソースの使い方」「状況への対応の違い(修正能力)」これらを調べたわけですね。
ただ単に売上の比較だけではなく、予算はどのように分配していくのか、想定外の状況になったときにどのように対応するのか。
こういった細かいことまで調べたわけですね。
やはり経験が需要だった
それでは1つ1つ結果を見ていきましょう。
まずは経営パフォーマンスの結果です。
(1) パフォーマンス
・3つのグループのうち、中小企業経営者(専門家)が最もパフォーマンスがよく、次いでビジネス学部生、心理学部生の順となった。
シミュレーション内での19か月の資金の推移は以下の図の通りである。実線は中小企業経営者(専門家)、黒の破線はビジネス学部生(準専門家)、グレーの破線は心理学部生(初心者)の中央値を示す。
中小企業の経営者でもマイナスになっているので、かなり高い経営能力を求める内容だったみたいですね。
この結果から経営パフォーマンスとしては、やはり中小企業の経営者が最も高く、続いて経営に関する知識が多い経営学部。
そして最後に心理学部の学生が一番パフォーマンスが低くなりました。
結果的に経営者とビジネス学部では2倍以上、経営者と心理学部生で言えば、4倍近くの結果でした。
この段階で今回のテーマである「結果を出すために実践経験は必要か?」ということに関しての答えはでましたね。
知識が豊富であっても、実践経験の方が高いパフォーマンスを発揮することがわかりましたね。
また、当然の結果ではありますが、実践経験がないが知識のある場合と、実践経験も知識もない場合では実践経験は無いが知識がある方が圧倒的にパフォーマンスは良かったですね。
目的を持って情報を集めろ
では、実践経験がある人と無い人ではどのようなリソースの使い方の違いと、変化に対する対応の違いがあったのでしょうか?
リソースに関しては
・全体の19ヶ月間で3つのグループ(中小企業経営者、ビジネス学部生、心理学部生)の間で広告費、市場調査費、人件費に大きな差は見られなかった。
・しかし、最初の3ヶ月だけを見ると、中小企業経営者は他の2つのグループに比べて広告費を多く使い、市場調査費は少なく使った。
・中小企業経営者はビジネス学部生、心理学部の学生と比較して情報の探索に多くの時間を費やしました。
この結果はかなり意外ですね。リソースの配分に関しては3グループとの大きな差はないのですね。
ただし経営者は最初の3ヶ月は広告費を多めに使ったということで、まずは市場の反応を見てから対策を考える方向性ですね。
実際に情報探索時間は経営者グループがもっとも長くなっていましたからね。
対して学生は市場調査し、市場を理解してから広告費などを使うという真逆の動きになりましたね。
まず、経営者が初めの段階で広告費を多く使っている理由の1つとして、市場の反応を見るためでしょう。
実際に市場に投げてみないと問題点や修正点がわからないということがわかっているので、最初に広告費にお金を使ったのでしょう。
また、広告費を最初にかけるのは事業の初期段階でブランドや製品の認知度を高める目的も考えられます。
例えば、新しいスタートアップ企業が市場に参入する際、製品やサービスの質だけでなく、その存在を消費者に知ってもらうこに多くの資金を投下するのと同じです。。
一方、学生たちは理論的な知識が豊富であるため、まずは市場調査を行い、そのデータを基に戦略を立てるというアプローチをとったのでしょう。
でも今回の数字を見ると市場調査のデータはあまり戦略に活かせなかったみたいですね。
ただし、経営者が情報探索に多くの時間を費やしていることから、データもビジネスの成功には不可欠であることが示唆されます。
この違いとしては、広告を使い、実際のデータを集めた上で知りたいことを調べるのか?
ただ闇雲に必要なデータを集めたのか?
という違いだと思います。
要は必要なデータが明確になっているかのかという違いがですね。
戦略を疑う大事さ
では最後に状況への対応の違いを見ていきましょう。
戦略の変更数に関して、広告、市場調査、人事の3分野で変更回数調べました。
その結果、
広告: 経営者が最も多く変更した。
市場調査: 経営者が他の2グループよりも少なく、多くの経営者は市場調査に支出していない。
人事: 経営者が他の2グループよりも多く変更。
このことからわかることは資金分配以上に大切なのは、戦略変更の回数ですね。
経営者は、ビジネスの状況や市場の変動に対応するために、戦略を頻繁に見直していますね。
これは、過去の実際の経験や直面した問題に対する対処の経験から得られる柔軟性に起因しています。
一方、学生は理論的知識を基に戦略を構築しますが、実際の状況の変化に対する対応が遅れる傾向にあります。
これは、実際の経験が乏しいため、理論と現実のギャップに戸惑うことが多いからです。
経営者が戦略を頻繁に変更するのは、ビジネスのリスクを最小限に抑え、チャンスを最大限に活かすためでしょう。
簡単にまとめると
・最も高いパフォーマンスは経営者、次にビジネス学部生、最後に心理学部生。
・リソース配分は初の3ヶ月で経営者は広告費を多く、市場調査費を少なく使った。
・戦略の変更数は経営者は頻繁に戦略を変更。学生は変更に遅れが見られた。
実践経験の有無がビジネスのパフォーマンスや戦略変更の柔軟性に大きく影響していることが確認できます。
Bookmarkチームの
活用考察
今回の結果は実践経験があるのかないのかでどの程度結果に差が生まれるのか?ということがわかるような内容でした。
今回からわかることは経営者はビジネスを走らせながら考え、修正の頻度が高いということです。これはどれだけ考えて、分析しても、自分の思い通りにならないことがわかっているからですね。
ただ、知識量があるかないかでもかなり大きな差があることもわかったので、実践しながらその時々で必要な知識を勉強していくのが良いのかもしれませんね。
ということで今回の内容を実際のビジネスに活用する方法を考えてみました。
知識と経験のバランス
活用方法: マーケティングチームには経験豊富なメンバーと最新のマーケティング知識を持つ若手メンバーを組み合わせる。
メリット: 効果的な戦略の策定。過去の成功事例と新しいアイディアを組み合わせた効果的なマーケティング戦略が策定できる。
従業員への指導
活用方法: やはり経験が少ない人は、失敗を恐れるのでなかなか実践へ踏み切れません。しかし、今回の研究をもとに知識だけではダメなことを伝えることで実践へ踏み切らせることができるでしょう。
メリット:行動ができない従業員に対して行動をさせる大きなきっかけになるでしょう。
現状維持をさせない
活用方法:今回の結果で最重要というとも言えるのが、戦略変更の回数です。初心者と専門家の圧倒的な差は様々な戦略を組めることです。なので、現状維持させずあれゆるパターンを試させる。
メリット:常に新しい施策を試させることで、業績が向上する可能性を引き上げたり、新しい知見の獲得に繋がる
今回の話から、経験と知識、どちらもビジネスの世界には欠かせないものだと感じました。
時には計画通りに進まないこともあるけれど、そんな時こそ学び取った知識を活かし、柔軟に対応することの重要性を強く感じました。
Inspired by Comparing Business Experts and Novices in Complex Problem Solving/University of North Florida/2016/https://www.mdpi.com/2079-3200/5/2/20